
日本で生活するための取得すべき在留資格は数多くあります。
ここでは、日本で働きたい、家族と一緒に日本で暮らすなど、みなさんの日本に来る理由/目的別に在留資格の種類を紹介します。
1.出張/親族訪問/観光の方
・短期滞在とは
短期滞在は、外国人が日本に短い間で来たり、滞在するための資格です。
1 短期滞在ビザの種類
短期滞在ビザは、目的によって「短期商用」「親族知人訪問」「観光」の3種類があります。
また、短期滞在ビザの期間は3種類あります。(国によって異なります。)
● 90日
● 30日
● 15日
さらに、短期滞在ビザの有効回数の種類は、3ヵ月以内に1回のみ有効の「1次査証」と、5年間に複数回有効の「数次査証」と、2種類あります。(「数次査証」が認められない国があります。)
このほか、日本と特定の外国とのとりきめによって、短期滞在ビザをとらなくても日本に来ることができる場合があります。(「査証免除」)
目的別による短期滞在ビザで注意すべき内容は以下のとおりです。
(1)「短期商用」
「短期商用」を目的とする短期滞在ビザは、取引先との会議や企業訪問、機械の定期検査など、仕事の目的で日本に来る際に申請します。
ただし、本国の企業であるか日本国内の企業であるかを問わず、日本国内での活動を対象に、直接的に報酬をもらうことはできません。
このような報酬が発生する場合には、短期滞在ビザを申請することはできません。また「査証免除」の国であれば、来日中に、これら報酬を伴う活動をすることはできません。
一方、日本国内での活動が、会議や見学、機械の設置やメンテナンスなど、本来業務に関する従属的な業務である場合は、その業務は、報酬を受ける活動には当たりません。
ただし、日本国内の企業の経営者に就任しており、その企業から報酬が支払われている場合には、会議や業務連絡を目的とする来日であったとしても、「商用短期」を目的とする短期滞在ビザには該当しません。
なお、宿泊費や食費、交通費など、実費の提供にあたる場合は、「報酬」ではないため、金銭の支払いが認められます。
(2)「親族知人訪問」
「親族知人訪問」の短期滞在ビザは、家族や知人に会うため日本に来る時に申請します。
たとえば、外国人と日本人が結婚する時、以下の理由で、短期滞在ビザを申請することができます。
● 結婚する人と外国で知り合ったから、結婚する前に日本人の家族に会わせたい
● 日本で結婚の手続きをしたいから、結婚する人を日本に呼びたい
● 外国人のお嫁さんに赤ちゃんができた。赤ちゃんが産まれる前と後に、外国に住むお嫁さんの家族に手伝いに来てほしい
短期滞在ビザは、報酬を受ける活動をすることはできません。したがって、「親族知人訪問」を目的として来日した外国人が、旅費・滞在費をかせぐためであっても、アルバイトをすることはできません。
また、「親族知人訪問」の受け入れ先である招聘人や保証人が飲食店を経営している場合であっても、その飲食店で働くことはできません。
(3)「観光」
「観光」目的の短期滞在ビザは、仕事ではなく、家族に会うためでもなく、日本を短期で旅行する時に申請します。
ただし、「観光」目的の短期滞在ビザで来日した外国人は、旅費・滞在費を稼ぐためであっても、アルバイトをすることはできません。「査証免除」で来日した場合も同様です。
また「観光」目的の短期滞在ビザで来日した外国人が、例えば、日本で開催される国際スポーツ行事を観戦することは可能ですが、その会場前で物売りをすることは、収入を得て事業を営む活動にあたり、禁止されます。
2 短期滞在ビザの手続き
短期滞在ビザの手続きは、その外国人が住んでいる国の日本大使館または領事館でできます。
※フィリピンや中国、タイなどの国の人は、日本大使館が認めたお店で手続きしてください。直接大使館に行っても手続きできません。
(1)短期滞在ビザの申請
短期滞在ビザをもらうために、下の書類をそろえてください。
※身元を保証する人と日本に呼ぶ人が同じ場合もあります。
※書類は全部そろえる必要があります。
※ほかにも書類を提出しなければならない場合があります。
(2)審査期間
審査期間は、書類を出してから1週間~2週間です。ながくなるばあいもあります。
審査が終わると、「パスポートを返します」という連絡がきます。大使館で書類を出した人は大使館で、大使館以外のお店で書類を出した人はそのお店で、パスポートをもらってください。
パスポートが返されたら、自分の短期滞在ビザを確認します。
ビザがもらえない場合の理由は教えてくれません。また、ビザがもらえなかった場合、6か月間は次の申請ができません。
(3)日本へ入国する
ビザの有効期間は3か月です。ビザをもらった日から3か月以内に日本に行ってください。
ビザの有効期間内に日本に行くことができない場合、有効期間の延長はできないため、再申請します。
日本に来た日から、いても良いと言われた日数(15日、30日、90日)日本にいられます。
ビザをもらったら、飛行機のチケットを予約してください。日本に行くチケットと、帰るチケットの両方が必要です。
3 短期滞在ビザを延長する・短期滞在ビザから変更する
“短期滞在のビザを延ばしたい”、“短期滞在ビザからほかの長いビザに変えたい”、と希望する外国人がたくさんいます。
でも、短期滞在ビザは、短期間で終わる用事や観光のために許可されているビザです。そのため、日本に来た短期滞在ビザを延長することは、原則的にできません。
また、短期滞在ビザは、簡単な書類と審査で許可されています。そのため、短期滞在ビザで日本に来て、日本にいる外国人や日本人と結婚したからといって配偶者ビザに変更したり、就職活動をして仕事が決まったからといって就労ビザに変更したりすることは、原則的にできません。
短期滞在ビザを延長したり、短期滞在ビザから変更するためには、病気や入院など、本当にやむを得ない特別な理由や、人道的な配慮が必要な、特別な事情が発生した時に限られています。
たとえば、“もっと観光したい”、“孫の卒業式に参加するため”、“サッカーの国際試合を観戦したい”、などという理由では、延長はできません。
ただし、出産する娘や嫁の介助のために「親族知人訪問」の短期滞在ビザで日本に来た本国の母親が、娘や孫の介助や見守りを継続するために、短期滞在ビザを延長することを申請した場合、その母親以外に介助や見守りをする人がいないという特別な事情で、延長が許可される場合があります。
さらに、日本での在留資格を持つ夫と本国で婚姻関係がすでに成立していたものの、日本の在留資格を持たずに短期滞在ビザで来日した女性が、婚姻事実を立証した上、妊娠中で飛行機での移動に不便であるなどの事情がある場合には、短期滞在ビザから配偶者ビザなどへの直接変更が認められる可能性があります。
このほか、就労ビザで在留資格認定証明書(COE)の申請をすでにしていたが、査証免除の短期滞在ビザで日本に来ていた間にCOEが許可された場合、事情を説明することによって、いったん出国してから査証申請するのではなく、短期滞在ビザから就労ビザへの直接変更が許可される場合もあります。
ただしこの場合、配偶者のビザや就労ビザへの直接変更の申請中に出国すると、変更申請自体が取り消しとなるほか、変更許可を待つために、いまある短期滞在ビザを延長することができない点に注意する必要があります。
なお、仮に短期滞在ビザが延長できたとしても、特段の事情がない限り、年間で合計180日以上の滞在はできませんので、必ず帰国するようにしましょう。
4 ほかのビザから短期滞在ビザに変更する
すでに短期滞在ビザ以外で何らかの中長期のビザ(在留資格)を許可され在留していた外国人が、まだかなりの在留期間が残っているにもかかわらず、そのビザによる活動をやめて本国に帰国しようとする場合には、帰国を前提とした短期滞在ビザに変更申請することができます。
(在留資格の取り消しに当たらない程度に残りの在留期間が少なければ、再入国許可を受けずに、出国手続きで在留カードに穴をあけてもらって、そのまま帰国することもできます。)
このように他のビザから帰国を前提とした短期滞在ビザに変更する場合には、現在の在留活動を中断する理由を書いた紙のほか、帰国便を予約したE-チケットのコピー、所持金と滞在先に関する説明書が必要になります。
東京出入国在留管理局(品川)の場合、ケース・バイ・ケースですが、申請が受理されれば、即日許可されます。
なお、3ヵ月以上の中長期のビザから90日以下の短期滞在ビザに変更すると、在留カードには穴があけられて無効となり、これまであった住民登録もなくなります。
住民ではなくなるため、今後の住民税や健康保険、年金を納付する必要はなくなりますが(ただし、今までの滞在期間にかかる請求分は支払う義務があります。)、健康保険も使えなくなりますので、帰国までの間に事故や病気で高額の医療費がかかった場合には、全額自己負担になります。
さらに、短期滞在ビザになると、携帯電話の新規の契約や、銀行口座の開設、その他、身元確認を必要とするいろいろな契約もできなくなりますので、注意してください。



2.日本で就職する方
日本で就職する方法として、大学や専門学校を卒業してエンジニアや総合職、通訳で働くビザ「技術・人文知識・国際業務」の仕事のほか、特定の産業分野の試験に合格し、その技能を生かして工場や現場で働くビザ「特定技能」の仕事があります。
●「技術・人文知識・国際業務」とは
日本の会社で働く外国人の多くが在留資格の「技術・人文知識・国際業務」を許可されています。
「技術・人文知識・国際業務」ビザは、大学等で習得する理科系や文科系の分野に属する知識や技術を必要とする業務を担当することとされています。
1 「技術・人文知識・国際業務」の仕事
「技術・人文知識・国際業務」では、業務の分野が、「技術」、「人文知識」、「国際業務」の3つに分かれています。
(1)「技術」
理科系の「建築」、「数学」、「理科」、「工学」、「IT」の知識や技術を必要とする業務です。
たとえば、
・自動車部品会社でCADを使用して部品設計を担当する業務
・建設会社で施工管理を担当しCADを使用して施工図を作成する業務
・工作機械メーカーでCADを使用して産業機械の設計を担当する業務
・プラント企業で工場施設をマネジメントする業務
・IT企業でスマートフォン用アプリ設計を担当する業務
・コンサルティング企業でクライアント企業のシステム構築を担当する業務
などが考えられます。
(2)「人文知識」
文科系の「法律」「社会学(コミュニケーションなど)」「経済学」「経営学」などの知識を使う業務です。
たとえば、
・企業の企画部門で新商品を開発や、経営戦略を企画する業務
・企業で商品やサービスを売買するための営業活動を行う業務
・企業の会計を担当する業務
・企業の総務や法務、人事など総括的な業務
などが考えられます。
(3)「国際業務」
文科系ではありますが、「外国人が持つ外国の知識・感性」「外国人の語学スキル」を使う業務です。
たとえば、
・貿易会社で外国の取引先と意思疎通し通訳・翻訳を専門的に担当する業務
・民間語学学校で外国語を日本人に教える業務
・外国語の資料やデータを日本語に翻訳する業務
・多数の外国籍従業員を外国語で管理する場合
などが考えられます。
2 「技術・人文知識・国際業務」が許可されない仕事
就労の在留資格では、できる仕事が決められています。このため「技術・人文知識・国際業務」で働く外国人は、自然科学系・人文科学系の専門的な知識や技術、実務経験を使う仕事をしますが、専門的でない単純な仕事については、できないことになっています。
たとえば、
・工事現場で建物を作ること、材料を運ぶこと
・工事の車を運転すること
・部品工場で機械に材料を入れること
・工場に設置された機械のメンテナンスをすること
・倉庫で商品を包装すること、出し入れをすること
・電子機器工場でプリント基板を作ること
・ホテルの部屋を掃除すること
・外国人客がいないホテルのフロントで受付をすること
・レストランや居酒屋の調理場やホール、洗い場で仕事をすること
・飲食店を経営する企業で予約受付や顧客管理を担当すること
・弁当工場でご飯を作ること、おかずの盛り付けをすること
・工場で部品のチェックやラベル貼りをすること
・太陽光発電パネルを設置すること
・家庭用電気メーターの設置をすること
これらの作業は、専門的な知識や技術、実務経験を必要としない仕事ですから、「技術・人文知識・国際業務」で働くことはできません。
3 「技術・人文知識・国際業務」が許可されるための条件
外国人が「技術・人文知識・国際業務」を許可されるためには、学歴や実務要件など、業務の分野によって必要な条件がいくつかあります。
(1)「理科系や文科系の知識または技術を必要とする業務に従事する場合は、これら知識と技術に関連する科目を専攻した学歴、またはこれら知識と技術に関する実務経験を持つこと」
「技術・人文知識・国際業務」ビザは、理科系や文科系の知識または技術に関する科目を専攻して、大学または大学と同等以上の教育を受けて卒業したこと、またはこれらを専攻して日本の専門学校を修了したこと、あるいはこれら知識と技術について、10年以上の実務経験を有することが要求されています。
この大学と同等以上という学歴は、大学・大学院・短大を含み、日本と海外のいずれも対象となりますが、専門学校については、日本国内の専門学校だけが対象となり、海外の専門学校は対象となりません。
ただし、本国の教育制度によっては、専門学校のようであっても短期大学に相当する場合もあり得ますので、個別の検討が必要です。海外の専門学校卒で申請し「不許可」となっても、再申請した際に履修科目全体のバランスによって日本の短期大学相当と認められ「許可」となったケースもあります。なお、大学については、夜間学部・通信制教育課程は含みません。
この学歴要件を立証するためには、通常、大学等の卒業証明書と成績証明書を提出し、学歴とともに履修科目について明らかにします。日本の専門学校の場合には、出席証明書も必要となります。
実務経験を立証する場合は、現職を含む以前の職歴すべてについて、それぞれ在籍証明書を提出します。
(2)「外国の文化、感受性を基盤とする業務に従事する場合は、通訳・翻訳または、海外取引業務等に従事して実務経験3年以上あること (ただし通訳・翻訳と語学指導の場合は、4年制大卒であれば実務経験不要)」
「技術・人文知識・国際業務」の中では、活動範囲が幅広い類型である上に、通訳・翻訳は外国人の担当業務としても一般的であり、しかも、実務要件は3年と短く、学歴要件としても一般的であるため、該当者がきわめて多数に上り、適用事例もきわめて多くなっています。
(3)専攻と関係がある仕事をすること
「技術・人文知識・国際業務」を許可される外国人は、それぞれ教育機関の専攻で習得した専門的な知識や技術を使う業務を担当することになります。ただし、教育機関によっては審査基準が異なります。
たとえば、日本や本国で大学を卒業した場合は、関連する履修科目を個別に選択していればよく、大学での専攻と仕事の内容が完全に一致することまでは要求されません。
したがって、大学の法学部を卒業した外国人が、法務だけでなく、営業を担当することは「技術・人文知識・国際業務」として問題がありません。また、経済学部、経営学部を卒業した外国人が、経理や経営だけでなく、総務の仕事をすることも、問題がありません。4年制大卒で日本語の資格があれば、通訳・翻訳、海外業務も可能です。
ただし、日本の専門学校を卒業した場合には、専攻と仕事の内容が完全に一致している必要があります。
たとえば、IT専門学校を修了した場合は、ITエンジニアとして働くことはできますが、通訳・翻訳、海外業務で働く場合には、「技術・人文知識・国際業務」は許可されません。また、外国語専門学校を修了した場合は、通訳・翻訳、海外業務で働くことはできますが、海外との取引がない企業での総合職として働くことは、能力的には可能であっても、「技術・人文知識・国際業務」は許可されません。
(4)今まで日本のルールを守ってきたこと
就職して「技術・人文知識・国際業務」を申請する外国人は、もともと留学生として、日本の大学や大学院、専門学校や日本語学校で勉強してきた人が多いと思います。
この留学生として在籍していた時に、学校に通って授業に出席していたかどうか、資格外活動許可を取ってアルバイトをしていたかどうか、そのアルバイトの制限時間も守っていたかどうか、このような留学時代の問題も、就職で「技術・人文知識・国際業務」に変更する際に、大きく影響します。
例えば、留学生の時に、学校に行かず出席率が80%以下、入管が決めた制限時間を超えてアルバイトをしていたことが明らかになった場合は、仮に卒業できても「技術・人文知識・国際業務」への変更は、留学当時のアルバイトと直接関係なく、不許可となる可能性が高くなります。
なお、外国人をアルバイトで雇っている会社や店は、いつからいつまで外国人が働いていたのか、ハローワークに届け出をする義務がありますが、このデータは、入管でも共有されているので、アルバイトを隠すことはできません。
(5)専門的な知識や技術、実務経験が必要な仕事をすること
基本的に在留資格(ビザ)は、それぞれについて、日本でできることが決められていますが、「技術・人文知識・国際業務」についても、「専門性」や「実務経験」で許可される基準が、それぞれ異なっています。
「技術・人文知識・国際業務」については、「技術」「人文知識」「国際業務」という3類型がありますので、同じビザであっても、それぞれに異なる基準があります。
①「技術」
a. 大学等で履修する学術的な水準を満たす理工系の知識・技術がある
一般的に理工系とは、物理学・化学・工学・電気工学・情報工学・農業工学等を意味しています。これらに限定されるわけではありませんが、成績証明書等で学術的な水準を満たす理工系の知識・技術を持つことを立証する必要があります。
b. 理工系の知識・技術が必要な業務が現に存在する
理工系の知識・技術が必要な業務とは、学問的・体系的である必要があり、単なる経験の蓄積では足りず、一定の水準以上の質・量が現に確保されている必要があります。
ある特定の業務が、理工系の知識・技術を必要とするかどうかについては、ケース・バイ・ケースでの判断となります。
たとえば、本国大学で化学を専攻した大卒者が、日本国内の清掃会社における廃棄物の選別や運搬を行う業務で化学の知識を要するとして「技術・人文知識・国際業務」を申請したところ、学術的な水準を満たす自然科学の知識・技術を必要とする業務とは認められなかった事例があります。
また、映像メディア関連の専門学校を卒業後、映像制作会社の照明技術担当者として採用された留学生が「技術・人文知識・国際業務」を申請したところ、やはり学術的な水準を満たす自然科学の知識・技術を必要とする業務とは認められないとして不許可となった事例があります。
その他、建設現場の足場の組み立て、タクシー運転手については、業務それ自体に一定の専門性と経験は必要であっても、学術的な水準を満たす専門性については否定されます。
c. 一部職種については一定水準以上の資格取得が要求される
たとえば、自動車整備の場合、2級整備士以上の資格に加えて、自動車整備主任者として昇任することが予定される必要があるとされます。これらについては、資格証明書コピーを提出します。
②「人文知識」
a. 大学等で履修する学術的な水準を満たす人文系の知識がある
一般的に人文系とは、法学・政治学・経営学・財政学・社会学・会計学・文学・語学等を意味します。これらに限定されるわけではありませんが、成績証明書等で、学術的な水準を満たす人文系の知識・技術を持つことを立証する必要があります。
b. 人文系の知識が必要な業務が現に存在する
人文系の知識が必要な業務とは、学問的・体系的である必要があり、単なる経験の蓄積では足りず、一定の水準以上の質・量が現に確保されている必要があります。
ある特定の業務が、人文系の知識を必要とするかどうかについては、ケース・バイ・ケースでの判断となります。
たとえば、飲食店を経営する企業において、販売・営業を担当するとして「技術・人文知識・国際業務」を申請する場合、規模が大きい企業の場合には、業務量が見込めるとして許可される可能性がありますが、規模が小さい企業の場合には、「適正な業務量が確保されない」として、不許可となる可能性があります。
同様に、コンビニ経営の小売業においても、数店舗以上を運営するなど規模が大きい企業の場合には、常駐型ではない巡回型の店舗管理業務が「技術・人文知識・国際業務」として認められる可能性がありますが、単独店舗の場合には、業務量の問題で認められない可能性が高くなります。
③「国際業務」
a. 通訳・翻訳を行う知識・素養がある
「技術・人文知識・国際業務」の中で「国際業務」の類型は、実務要件年数も3年と少なく設定されており、しかも通訳・翻訳と語学指導の場合は、4年制大卒であれば、実務要件を満たすことになっています。
b. 通訳・翻訳が必要な業務が現に存在する
通訳・翻訳として就労することが前提ですから、所属機関となる企業に通訳・翻訳を必要とする業務が存在する必要があります。
通訳・翻訳を必要とする海外業務や外国人管理業務が存在しないにもかかわらず、単に外国人を採用したいからといって「技術・人文知識・国際業務」で申請すると、通訳・翻訳を必要とする業務に関する立証資料を入管から提示するように要求され、提示できない場合は不許可となります。
また、通訳・翻訳を必要とする業務は、現に存在している必要があります。“現状未定だが将来的にベトナム進出したい”というような、漠然とした未来の予定では、雇用の必要性が認められない可能性が高くなります。
たとえば、“ベトナム進出予定”として通訳・翻訳のベトナム人を「技術・人文知識・国際業務」で採用するのであれば、少なくとも現地視察を終えて事業化調査も行うなど、具体的・詳細なベトナム進出のための事業計画書を提出する必要があると考えられます。
c. 通訳・翻訳を必要とする業務が質・量ともに適正な水準である
通訳・翻訳を必要とする業務は、質・量ともに、適正な水準が維持されている必要があります。
たとえば、外食業の企業が「技術・人文知識・国際業務」での通訳・翻訳業務の必要性として、“メニューの翻訳”を挙げる場合がありますが、このような業務は翻訳レベルも高くはなく、長くても2週間程度で終了する業務であり、適正な業務水準とは認められません。
また、“外国人顧客に対する外国語対応”など、通訳・翻訳業務の必要性を挙げる外食業や小売業、宿泊業もありますが、これは、外国人顧客が現実的に、ある程度以上、存在することを具体的に立証する必要があります。
したがって、そもそも“外国人顧客”が存在しない会社や店舗は論外ですが、“外国人顧客”が来店したとしても日本人顧客が多数に上り、“外国人顧客”が少数にとどまる場合には、「適正な業務量が確保できない」との理由で不許可となります。
たとえば、外国人観光客の利用がある程度見込める中規模以上のホテル、旅館であれば、通訳・翻訳担当社員として「技術・人文知識・国際業務」の申請は可能と考えられますが、外国人観光客の利用がほとんど見込めない小規模ビジネスホテルや小規模旅館で、通訳・翻訳の必要性を主張して「技術・人文知識・国際業務」を申請しても、「適正な業務量が確保できない」として不許可となります。
さらに、通訳・翻訳業務の質・量については、採用企業全体のバランスも考慮する必要があります。
たとえば、本国大卒でJLPT1級を持ち英語能力もある外国人が、空港免税店での通訳・翻訳担当社員として「技術・人文知識・国際業務」の申請を行ったところ、採用企業の規模が大きくなく、すでに多数の通訳・翻訳担当社員がいるため、「適正な業務量が確保できない」として不許可となった事例があります。
そのほか、通訳・翻訳業務の必要性として、アルバイトや技能実習生など、“外国人従業員の管理”を挙げる場合も多々ありますが、管理する対象となる外国人が数人以内にとどまる場合には、適正な業務量とは認められません。
●「特定技能」とは
「特定技能」は、特定の産業分野の技能を持つ外国人が日本の会社で働くことができる在留資格です。
日本には働く人が足りない会社がたくさんあります。しかし、その会社で働くには、専門的な技能が必要です。そのため、特定の仕事の知識や技能がある外国人に働いてほしいと思っている会社が多いので、この資格ができました。
「技能実習」とは、仕事は似ていても、違う在留資格です。
1 「特定技能」はどういうビザ?
特定技能は、1号と2号と2つの段階がありますが、現在、2号の段階がある職種は「建設」と「造船舶用工業」だけです。
特定技能1号:特定の職種で働ける一定水準以上の知識や技能がある外国人の資格
特定技能2号:特定の職種で1号よりも高い知識や技能がある外国人の資格
それぞれ、説明します。
特定技能1号
特定技能1号は、特定の職種で働ける知識や技能を持っている外国人のための在留資格です。
特定技能1号の資格を取るためには、技能のテストと日本語のテストを受けて合格しなければなりません。
技能実習2号が最後まで終わって技能評価試験に合格した人は、関連する「特定技能」の職種で働くならば、テストがありません。ただし、技能実習の仕事と違う仕事がしたい時は、テストを受けなければなりません。
(1)特定技能1号は、次のような資格です。
・特定技能1号で働けるのは5年までです。
・1年か、6か月か、4か月ごとに資格を更新しなければなりません。
・会社や登録機関から日本に住むためのサポートが受けられます。
・国の家族は日本に来ることができません。
(2)特定技能1号の仕事は、次の14種類です。
・介護:体が不自由な人のサポートをする仕事
・ビルクリーニング:ビルの中を掃除する仕事
・素形材産業:部品など、物を作る仕事
・産業機械製造業:部品など、物を作る仕事
・電気・電子情報関連産業:部品など、物を作る仕事
・建設:家やビルなど、建物を作る仕事
・造船・舶用工業:船を作る仕事
・自動車整備:自動車を点検・整備する仕事
・航空:飛行機に荷物を運ぶ、飛行機を点検・整備する仕事
・宿泊:ホテルで受付や接客をする仕事
・農業:野菜などを育て、収穫する仕事。豚や牛、ニワトリなどの動物を育てる仕事
・漁業:魚を獲る、魚を育てる仕事
・飲食料品製造業:食べ物を作る仕事
・外食業:レストランなどで、接客する、料理を運ぶ仕事
引用:https://www.moj.go.jp/isa/content/930006034.pdf
2 特定技能2号
https://www.photo-ac.com/main/detail/22291562#goog_rewarded
特定技能2号は、1号よりも高い知識や技能があり、班長など実務経験がある外国人のための在留資格です。
特定技能2号の資格は、特定技能1号で働いたあと、テストに合格するともらえます。また、特定技能1号で働いたことがなくても、テストに合格し、仕事の技能が高ければ特定技能2号がもらえます。
(1)特定技能2号は、以下のような資格です。
・日本で働く期限はありません。
・3年か、1年か、6か月ごとに資格を更新しなければなりません。
・会社や登録機関から日本に住むためのサポートが受けられません。
・国の家族も日本に来られます。
(2)特定技能2号の仕事は、次の2種類です。
・建設:家やビルなど、建物を作る仕事のリーダー
・造船・舶用工業:船を作る仕事のリーダー
引用:https://www.moj.go.jp/isa/content/930006034.pdf
3 特定技能で働くために必要なこと
https://www.photo-ac.com/main/detail/2090119
特定技能で働きたい人は、テストを受けなければなりません。
そのため、仕事の技能と日本語を勉強する必要があります。
テストの内容は、ISA(出入国在留管理庁)のホームページで見られます。
(https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri01_00135.html#a1)
技能実習2号が最後まで終わって、実技試験に合格していると、特定技能の資格をもらうことができます。
技能実習3号で働いている人は、今の仕事が終わってから資格がもらえます。
今と同じ分野の仕事なら、テストを受けなくても大丈夫です。
ただし、技能実習の仕事であっても、特定技能の仕事として認められない仕事があります。
(例: 職種「建具製作」「タイル張り」「防水施工」など)
技能実習1号の人は、日本語と技能のテストに合格すれば、特定技能の資格がもらえます。しかし、技能実習1号をとちゅうでやめることは、できません。技能実習1号のとちゅうの人は、特定技能の資格はもらえません。

3.日本へ留学する方
留学ビザは、日本語学校、大学、大学院、高校などに通う人がもらえるビザです。留学ビザを持っている人を「留学生」といいます。
留学生は6か月間から2年間日本で生活することができます。学校で勉強を続けたい時は、入国管理局で新しいビザをもう一度もらいます。
最初にビザをもらう時は、だいたい6か月かかります。
1 留学ビザをもらう時の準備
(1)日本語学校を決める。大学、大学院、専門学校に合格する。
インターネットや留学フェアでいい学校を探しましょう。
(2)学校がCOE(「在留資格認定証明書」Certificate of Eligibility)を申し込む。
何もしなくてもいいです。待ちましょう。
(3)COEをもらう。
COEをもらった後は3ヵ月で日本に行かなければなりません。
(4)留学ビザの書類を出す。
日本大使館(Japanese Embassy)や日本総領事館(Consul General of Japan)に出してください。
【必要な書類】
<申し込むための書類>
・ビザ申請書(VISA APPLICATION FORM TO ENTER JAPAN) ・写真 ・パスポート
<今まで勉強したことの書類>
・履歴書 ・国の学校の卒業証明書・日本語能力の証明書(JLPTやNAT-TESTの結果)
<お金の書類>
・経費支弁書(留学のお金を払う人が書く書類)
・貯金の証明書(今の貯金が2,000,000円ぐらい必要です)
必要な書類は学校によって違います。
(5)留学ビザが取れた後で日本へ来て、在留カードをもらいます。
(1)~ (4)は留学エージェントにお願いすることもできます。
2 留学ビザをもらった後、どんなことに気をつけますか?
・在留カードはいつも持っていてください。
学校へ行く時だけではなく、コンビニへ行く時も持っていてください。
けいさつが、あなたの在留カードをかくにんするばあいがあります。
・在留カードは誰にも貸さないでください。
悪い人がコピーしたり、かってに携帯電話をけいやくしたり、盗まれたりします。。
・毎日学校へ通うこと。
留学ビザは学校へ通うためのビザです。学校を休んではいけません。
学校を休んでいると、学校をやめさせられたり、卒業しても、しゅうしょくできません。
学校へ行けない時、心配なことがある時は先生に話してください。
3 留学生はアルバイトができますか?
留学ビザの人は、授業のある期間は、1週間に28時間までアルバイトをすることができます。
学校の夏休み・冬休み・春休みなど長い休みの時は、1日8時間までアルバイトをすることができます。
1週間に28時間働くと、1か月に85,000円~120,000円もらえます。東京や大阪はお給料が高いですが、家賃や食べ物も高いです。貯金をしたり、家族にお金を送ったりすることはほとんどできません。
悪い会社や悪い人は「日本では、勉強しながらアルバイトで300,000円もらえます。たくさん貯金できます。」と言いますが、危険な仕事が多く、誘いに乗ってはいけません。
さいごに、留学生は、がっこうにいって、べんきょうすることが第一です。アルバイト中心の生活をしてはいけません。


4.家族と日本で暮らす方
●「家族滞在」とは
外国で暮らす配偶者(おっとや、おくさん)や子どもなど、家族といっしょに日本で暮らしたい場合、「家族滞在」ビザが必要です。
この記事では「家族滞在」ビザの申し込み方法や注意点を説明します。
1 「家族滞在」ビザとは?
下のいずれかのビザを持って日本に住んでいる外国人の方の家族のためのビザです。
対象になるビザ
「教授」,「芸術」,「宗教」,「報道」,「高度専門職」,「経営・管理」,「法律・会計業務」,「医療」,「研究」,「教育」,「技術・人文知識・国際業務」,「企業内転勤」,「介護」,「興行」,「技能」,「文化活動」,「留学」
「家族滞在」ビザは、これら対象になるビザの外国人の配偶者や子どもとして、生活を世話してもらって、家族として日本で生活するためのビザです。両親から完全に独立した人、自分だけで働く人、両親や配偶者とは無関係に自分だけで日本に来たい人は、「家族滞在」ビザになることはできません。
2 必要な条件
(1) 対象となるビザを持って日本に住む外国人の配偶者か子どもであること
配偶者か子どもとして申し込む人は、日本に住む配偶者や両親との関係を証明するために、結婚証明書や生まれた証明書を提出します。
家族滞在ビザの対象になる家族は、配偶者か子どもだけです。親や兄弟は対象になりません。親や兄弟を日本に呼ぶ時は、基本的に期間90日以下で親族訪問目的の「短期滞在」ビザを使います。
(2) 対象となるビザを持って日本に住む外国人が配偶者と子どもを養っていること
配偶者や子どもを養っている人の職業や収入などを証明するために、仕事の証明書や収入の証明書、税金を納めている証明書を提出します。
配偶者と子どもを養うための収入が低すぎると、「家族滞在」のビザが許可されません。
(3)対象となるビザを持って日本に住む外国人が認められた仕事をしていること
対象となるビザを持って日本に住む外国人は、自分の仕事の内容を証明するため、働いている会社が作った「在職証明書」を提出します。
対象となるビザを持って日本で住む外国人が、自分のビザで認められる仕事をしていない場合、自分のビザの延長もできませんが、家族のための「家族滞在」ビザも許可されません。
3 申し込み方法
「家族滞在」ビザを申し込む方法は、申し込みする人が今どこにいるか、すでにビザを持っているか、新たに上陸するかどうかによって、3種類あります。
(1)対象となるビザを持って日本に住んでいる外国人が、本国にいる配偶者や未成年の子どものために代理人となって、海外から呼び寄せする場合 <在留資格認定証明書交付申請>
(2)すでに日本に居住してビザを許可されている外国人が、対象となるビザを持って日本に住んでいる外国人と結婚したことにより、ビザを変更する場合 <在留資格変更許可申請>
(3)対象となるビザを持って日本に住んでいる外国人の子どもとして出生したことにより、新たにビザを取得する場合 <在留資格取得許可申請>
4 よくある質問
(1)「家族滞在」ビザでも働くことはできますか?
「家族滞在」ビザは、原則的に働くことはできません。ただし、「家族滞在」ビザを許可された人が、「資格外活動許可」を申請して入管が許可すれば、週28時間まで働くことができます。
たとえば、コンビニのレジ打ち、レストランや居酒屋の厨房やホール係、洗い場、弁当工場でのおかず調理や盛り付け、ビジネス・ホテルでの清掃やベットメイクなどは、時間さえ守れば可能です。
ただし、バーやクラブ、ディスコ、パチンコ、ラブホテルなど、特定の業種では、清掃であっても働くことはできません。
さらに、アルバイトであっても、扶養を受ける「家族滞在」ビザを持つ人の収入が、扶養する人よりも多い場合は、扶養されているとは言えなくなるので、仕事を減らすか、ビザを変える必要があります。
(2)「留学」ビザを持って日本に住んでいます。「家族滞在」ビザを使って日本に家族を呼べますか?
あなたが「国費留学生」<= 本国や日本の政府のお金をもらって留学している留学生>の場合は、配偶者や子どもを「家族滞在」ビザで呼び寄せできる可能性があります。ただし、一般的な「私費留学生」<= 自分の両親からお金をもらって留学している留学生>の場合は、審査は厳しくなり、呼び寄せができない可能性が高いです。
もともと「私費留学生」は、本国の両親からの仕送りを受けて学費や生活費を払っていますが、その「私費留学生」が、本国の配偶者と子どもを呼び寄せするというのは、扶養されている人が別の家族を扶養することになり、生活が難しくなる、と入管が判断しているためです。
(3)子供が成人したらどうなりますか?
「家族滞在」ビザを持っている子どもが20才になっても、ビザはすぐにはなくなりません。大学に通っているなどの理由で、まだ親が養っている場合があるからです。しかし、もし成人している子どもがこれから「家族滞在」ビザを取る場合は、審査がとても難しくなります。それは、独立して働くことができる年齢なので、親の扶養に頼らず自分で稼いで生活できるはずだ、と入管が審査を厳しくするからです。
(4)「家族滞在」ビザから他のビザに変更できますか?
特定の仕事のビザを持っている外国人の配偶者や子どもとして「家族滞在」ビザを持っていた外国人が、離婚したとか成人したことにより「家族滞在」ビザをそのまま維持できなくなる場合、条件によっては、ほかのビザに変更することも可能です。
たとえば、本国や日本で大卒であるなど学歴がある場合、仕事の内容が「技術・人文知識・国際業務」のビザに該当するならば、ビザを変更できる可能性があります。
このほか、子どもとして「家族滞在」ビザを許可されてきて、小学校から中学校を経て高校まで卒業したものの、大学進学せず就職する場合、日本での長期間の定着性が認められ、「定住者」ビザが許可される可能性があります。


5.日本人・永住者と結婚する方
●「日本人の配偶者」とは
外国人が日本人と結婚して、そのまま日本で配偶者としての在留を希望する場合、「日本人の配偶者等」の在留資格(=外国人が日本に住む資格)が許可される場合があります。
日本人の「配偶者」とは、日本人の結婚相手である外国人のことをいいます。
日本での結婚は、市町村の役所に、「結婚届出書」と本国の証明書類など、必要な書類を提出し、これが受理されることにより成立します。
「日本人の配偶者等」の在留資格を許可されるために注意することは、以下のとおりです。
1 「日本人の配偶者等」の在留資格を新たに申請する時
(1)結婚する夫と妻が自分の意志で本当の結婚をすること
結婚とは、夫と妻が、同居し同一の生計を立てることを前提に成立します。したがって、結婚するつもりがないのに、“日本で住むビザが欲しいから”、だとか、“日本で自由に働くことができるビザが欲しいから”という理由で、うその結婚をすることは、犯罪になります。
また、個人差はあるものの、通常の結婚は、人生の最大のイベントでもあるので、男性と女性が相互の交流を一定期間継続し、相互の理解を深め、相互の意志を確認しあって、それから結婚の手続きをします。
したがって、初めて会ってすぐに結婚したようなケースでは、結婚が実際に成立してはいるものの、結婚を急ぐ特段の事情があるのかどうか、結婚の意志が真実であるかどうか、疑われる可能性が高くなります。
さらに、結婚の紹介業者がいるかどうかも、夫婦の意志が本当であるかどうか判断するポイントとなります。もちろん、紹介業者の紹介を受けていたとしても、一定期間の交流を通じて、真実の結婚が成立するケースはあるわけですが、紹介業者は、妻または夫を必要とする側から手数料を取るビジネスですから、真実でない結婚を仲介する可能性が疑われる場合があります。(偽装婚)
なお入管は、「配偶者等」の申請を受け付けた後、結婚の意志が本当にあるのかどうか疑われる場合、本人に直接確認することがあります。
(2)同居・同一の生計を立てること
夫婦は同居し同一の生計を立てます。したがって、会社の転勤命令など、合理的な理由もないのに、夫婦が別々に住んでいるとか、生活が夫婦で分かれていると、本当の夫婦ではないのではないか、という判断となり、申請が不許可となる可能性があります。
会社の転勤命令という合理的な理由で別居しているのであれば、入管申請の時に、転勤命令の指示書コピーを提出します。
入管は、「配偶者等」の申請を受け付けた後、同居し同一の生計を立てているかどうか疑われる場合、夫婦の自宅を見に来て、近所の人に質問することもあるほか、携帯電話の契約名義人が誰か、自宅の水道使用量は多いか少ないか、調査することがあります。
(3)生活費が充分にあること
夫婦が同居し、同一の生計を立てていくためには、夫婦の衣食住に必要な一定のお金が必要です。
このお金の金額については、年齢や仕事の有無・種類、年金の有無、子どもの有無、不動産の有無などなど、夫婦の置かれた生活環境により、ケース・バイ・ケースですが、“月何十万円以上あれば許可”、“月何十万円以下だったら不許可”、という正確な金額の共通基準があるわけではありません。
たとえば、無職・無収入の夫婦の場合であっても、不動産があり預貯金が充分にあることが証明できる場合には、生計能力があると認められる可能性は高くなります。
他方、仕事はしているが年齢相応以下で給与が低く、預貯金も不動産もないような場合には、生計不安定と判断され、不許可となる可能性があります。さらに、日本人の側が無職で生活保護を受給している場合には、その事実だけで不許可となることはないにせよ、やはり全体的に生計不安定と判定される可能性が高くなるため、審査が厳しくなる可能性が高いと言えます。
(4)公的義務を履行していること
公的義務とは、所得税・住民税・健康保険料・年金保険料のことで、これらをとどこおりなく、期日内に納付していることが必要です。
課税証明書と納税証明書により明らかになる税金の未納は、否定的な要素ですが、分割にせよ、納付することが誓約されている場合には、その未納事実だけで、直ちに不許可にはなりません。ただし、その後の納付事実が確認されない場合には、誓約事項が守られないということで、不利な結果になるものと考えられます。
(5)真実の書類を提出すること
入管審査の基本は、書類審査です。とりわけ結婚に伴う「日本人の配偶者等」の在留資格を申請する際には、配偶者となる外国人の国籍国によって違いはあるものの、外国と日本において、身分関係の書類が多数必要となります。
ところが、これら多数の身分関係書類が用意できない時に、専門業者に偽造書類を依頼したり、自分で作ったりする場合、また、書類の用意はできたが、複数の書類で整合性が取れない場合、さらに、結婚に至る相互の交流を盛るために、事実でないことを書く場合などが、よくあります。
ただし、入管審査官は、毎日、各国それぞれ多数の身分関係書類の原本を、実際に手に取って審査をしていますので、偽変造の書類は、だいたいわかります。
また、書類審査の過程で、生年月日やIDカード番号、書類番号、書類のサイン、紙質など、データ不一致や不自然な点についても比較的容易に確認ができますので、このような場合は、書類の信憑性に疑義あり、と判定されることになります。
さらに、一見詳細に記載された交流・交際経緯についても、その他のデータや記載内容との整合性を確認することで、交流・交際経緯の虚偽記載が判明するケースもあります。
このように、単純な誤記載ではなく、故意または、悪質な偽変造の意志が認められる場合には、当然に不許可となりますが、今後の再申請においても、許可を得ることはほとんど期待できなくなりますので、真実の書類を作成し、提出しなければなりません。
2 「日本人の配偶者等」の在留資格の延長を申請する時
海外に居住する外国人と結婚して、その呼び寄せで「日本人の配偶者等」の申請をして許可された場合、また、すでに日本に居住する外国人と結婚して、その在留資格を「日本人の配偶者等」に変更した場合、いずれであっても、在留期限が到来するので、日本で結婚生活を続けるためには、「日本人の配偶者等」の在留資格の期間更新を行う必要があります。
ところが、在留資格の期間更新は、そのまま許可されるわけではありません。日本人との同居・同一生計は維持されているか、最初の申請内容と矛盾はないか、外国人の在留状況は良好であるか、外国人の生計は安定しているかどうか、これらについて入管は改めて審査することになります。
とりわけ日本人と結婚したことにより許可された「日本人の配偶者等」の在留資格については、同居・同一生計という実体ある婚姻生活が維持されているかどうか、世帯を維持するに足りる収入や資産を確保しているかどうかが重要な審査対象となります。
つまり、「日本人の配偶者等」の在留資格は許可されたものの、その後、住民票により別居していることが判明したとか、世帯で収入ゼロの税証明書が出てきたとか、その他の資産についての書類がないとか、警察に捕まっていたとか、これらの否定的な要素が確認される場合には、外国人本人または、相手の日本人に対して追加説明を求め、改めて審査する場合もありますが、在留期間を短縮する場合、あるいは、ケース・バイ・ケースではあるものの、そのまま不許可にしてしまう場合もあり得ます。
したがって、「日本人の配偶者等」の在留資格を延長するためには、最初の申請と同様の条件を、そのまま維持している必要があります。
3 日本人の配偶者が亡くなった場合
「日本人の配偶者等」を許可されて在留している外国人は、妻または夫である日本人と同居し、同一の生計を立てて暮らす必要があります。
ところが、その日本人が亡くなってしまった場合は、「日本人の配偶者等」という在留資格をそのまま維持することはできず、その他の在留資格に変更するか、または、帰国することになります。
しかも入管法では、相手の日本人と死別した場合に、「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人に対し14日以内の「配偶者に関する届け出」を義務付けているほか、「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人が、正当な理由なしに配偶者としての活動を6ヵ月以上行わない場合は、在留資格を取り消すことができる、と定めています。
このことは、日本人である妻または夫が亡くなって6ヵ月以上そのままでいると、相手の外国人は「日本人の配偶者等」の在留資格が取り消され、最終的には帰国することを意味しています。
また、相手の日本人が亡くなった後、「日本人の配偶者等」の在留期間が仮に6ヵ月以上の余裕があったとしても、相手の日本人が亡くなってしまった以上、その期間が満了するまで在留することはできません。
つまり、日本人である妻や夫が亡くなってしまった場合、その相手である「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人は、必ず6ヵ月以内に、他の在留資格に変更するか、帰国しなければならない、ということになります。
なお、ここでいう正当な理由とは、ケース・バイ・ケースではあるものの、病気・入院等、やむを得ない特段の理由ですから、“忘れていた”、“忙しかった”、“どうしたらいいか分からなかった”、という理由は、正当な理由にはなりません。
4 日本人の配偶者と離婚した場合
「日本人の配偶者等」を許可されて在留している外国人は、妻または夫である日本人と同居し、同一の生計を立てて暮らす必要があります。
ところが、その日本人と離婚してしまった場合は、「日本人の配偶者等」という在留資格をそのまま維持することはできず、その他の在留資格に変更するか、または、帰国することになります。
しかも入管法では、相手の日本人と離婚した場合に、「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人に対し14日以内の「配偶者に関する届け出」を義務付けているほか、「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人が、正当な理由なしに配偶者としての活動を6ヵ月以上行わない場合は、在留資格を取り消すことができる、と定めています。
このことは、日本人である妻または夫と離婚して6ヵ月以上そのままでいると、相手の外国人は「日本人の配偶者等」の在留資格が取り消され、最終的には帰国することを意味しています。
また、相手の日本人と離婚した後、「日本人の配偶者等」の在留期間が仮に6ヵ月以上の余裕があったとしても、相手の日本人と離婚してしまった以上、その期間が満了するまで在留することはできません。
つまり、日本人である妻や夫と離婚した場合、その相手である「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人は、必ず6ヵ月以内に、他の在留資格に変更するか、帰国しなければならない、ということになります。
なお、ここでいう正当な理由とは、ケース・バイ・ケースではあるものの、病気・入院等、やむを得ない特段の理由ですから、“忘れていた”、“忙しかった”、“どうしたらいいか分からなかった”、という理由は、正当な理由にはなりません。
5 死別・離婚後に「日本人の配偶者等」を変更する場合
では、結婚相手の日本人が亡くなったり、日本人と離婚したものの、そのまま日本で生活を続けたい場合、「日本人の配偶者等」の在留資格はどうしたらいいのでしょうか?
これについては、その外国人の背景によってケース・バイ・ケースですが、方法は大きく分けて、身分系の在留資格と、就労系の在留資格と、2つの種類があります。
(1)身分系の在留資格
①「日本人の配偶者等」の期間更新
最初に、身分系の在留資格ですが、まず、別の日本人と再婚することになれば、在留資格としては同じ「日本人の配偶者等」をそのまま維持(更新)できる可能性があります。
再婚時に「日本人の配偶者等」の在留期間が残り3ヵ月以内の場合は、在留資格の期間更新に合わせて、新しい日本人の配偶者との婚姻関係書類を提出します。ただし、前に結婚した相手とは異なりますから、更新申請であったとしても、婚姻に関する質問書も含めて、すべて新しく提出し直すことになります。
また、新たな日本人との再婚時に在留期間が3ヵ月以上残っている場合は、期間更新は受理されませんが、前の配偶者である日本人はいなくなっていますから、新たな日本人との再婚を前提に、できるだけ早く期間更新を申請する準備を始める必要があります。
なお、日本人と再婚する場合は期間更新であっても新しい結婚ですから、新しい審査が始まりますが、すぐに再婚したとか、離再婚が多いということになると、居残り目的の再婚だと疑われ、婚姻の信憑性が疑問視される可能性があります。
②「永住者の配偶者等」への資格変更
次に、日本人と死別したり離婚した後、日本に在留している「永住者」ビザの外国人と再婚した場合には、「日本人の配偶者等」から「永住者の配偶者等」に在留資格変更を申請し、許可を受けることになります。
この場合も、相手が日本人か外国人かという違いはありますが、新たな配偶者との結婚に伴う配偶者ビザですから、婚姻に関する質問書を含めて、すべて新しく提出することになります。
新たな再婚配偶者である永住者との生計の安定性・継続性や婚姻の信憑性について、新たな審査が進行することについては、日本人との再婚の場合と同様です。
③「定住者」への資格変更
そして、もう一つの身分系の在留資格ですが、一定の条件を充足する限りにおいて、「日本人の配偶者等」を「定住者」に変更できる可能性があります。
この「定住者」については、法律で規定された「定住者」のカテゴリーではないため、告示外の「定住者」と呼ばれます。
告示外「定住者」への変更が許可されるかどうかは、ケース・バイ・ケースですが、
①生計を営む資産又は技能を有すること
②日常生活に不自由しない日本語能力を持つこと
③公的義務を履行、または履行することが見込まれること
④3年以上にわたり正常な婚姻関係・家庭生活を維持していたこと
⑤国籍問わず日本人の実子を養育していること
これらの条件のうち、⑤は告示外「定住者」が比較的許可されやすい条件と言えますが、④については、比較的、審査基準が厳しいのではないか、と考えられます。
以上の身分系の在留資格は、許可基準が身分関係にありますので審査基準も厳しいと言えますが、就労制限がないため、いわゆる単純労働、現場労働、接客業務にも従事することが可能です。
(2)就労系の在留資格
「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人が、配偶者である日本人と死別・離婚した場合に在留資格を変更するもう一つの方法は、学歴や実務要件と業務内容が条件を満たす場合に、就労系の在留資格に変更することです。
つまり、「日本人の配偶者等」の外国人が日本人と死別・離婚したのち、新たな婚姻相手がいない上、婚姻期間が短かったとか、日本人の実子がいなかったという理由で、身分系の在留資格には変更が困難であるものの、その外国人が、本国または日本において大学を卒業していたとか、日本の専門学校を卒業していたとか、一定の実務経験年数を持っている場合には、就職先の業務内容が在留資格に適合する条件ではありますが、就労系の在留資格に変更できる可能性があります。
たとえば、本国大卒の外国人が、本国で知り合った日本人と結婚して「日本人の配偶者等」を許可されていたものの、日本人と離婚したため、貿易商社に就職し、通訳・翻訳を担当するとして「技術・人文知識・国際業務」に資格変更するようなケースが想定されます。
これは、身分関係の成立を新たに得ることが困難なため、身分関係の在留資格は許可されないものの、過去の自身の学歴や実務経験と就職先の業務内容により、就労関係の在留資格を得るものですから、結婚とか独身であるかは無関係です。
ただし、就労系の在留資格の中でも「技術・人文知識・国際業務」は、専門性に基づいた業務に従事することが前提ですから、接客業等の単純労働には従事できません。
●「永住者の配偶者」とは
「永住者の配偶者等」という在留資格は、「永住者」か「特別永住者」との身分関係によって許可されるので、まず基本となる「永住者」と「特別永住者」について簡単に説明します。
1 基本になる在留資格は「永住者」「特別永住者」
(1)「永住者」
「永住者」の在留資格は、すでに日本国内で一定の在留資格を許可されていた外国人、または、「永住者」の子として日本で出生した外国人で、一定の条件を満たす場合に、法務大臣が認める在留資格です。
「永住者」は 、日本国内に滞在する限り、在留期間に期限がなく、在留資格の期間更新は必要ありません。また、国籍制限がある場合を除き、就労の制限なく、自由に働くことができます。
この「永住者」を次の「特別永住者」と区別するために、「一般永住」という場合もあります。
(2)「特別永住者」
1945年9月2日以前から朝鮮半島や台湾島など旧植民地出身の日本国籍者として日本の本土に継続して在留し、1952年4月28日の平和条約の発効によって日本国籍を離脱した者とその子孫です。
日本国内に滞在する限り、やはり在留期間に期限がなく、在留資格の期間更新は必要ありません。また、国籍制限がある場合を除き、就労の制限なく、自由に働くことができます。「特別永住者」からの出生子も「特別永住者」として許可されます。
2 「永住者の配偶者等」の対象はどんな外国人
「永住者の配偶者等」という在留資格は、「永住者」の在留資格をもって在留する外国人か、「特別永住者」の在留資格をもって在留する外国人の配偶者と、「永住者」の子として日本で出生したものの「永住者」の許可を受けることができなかった子が対象となります。
「永住者」の子として海外で出生した者は「永住者の配偶者等」ではなく、日本に呼び寄せする場合は「定住者」として申請することになります。(ただし、18歳以下の未成年・未婚に限ります。)
また、「特別永住者」の子として出生した者は、国内外にかかわらず、出生後60日以内に特別永住許可申請がされて許可されれば「特別永住者」となりますが、申請期限後になると、「永住者の配偶者等」が許可されることになります。
このように「永住者の配偶者等」の在留資格は、「永住者」「特別永住者」との婚姻や、「永住者」の子という身分関係と、出生場所、申請期間によって決まりますので、これら身分関係がそもそも存在しない場合には、「永住者の配偶者等」という在留資格も存在しないことになります。
3 「永住者の配偶者等」のメリット・デメリット
「永住者の配偶者等」ビザも、ほかのビザと同じように、いい面(メリット)と、悪い面(デメリット)があります。
(1)「永住者の配偶者等」ビザのメリット
①就労制限がない (国籍制限がない限り、日本人と同様に就労・転職できる)
②副業制限がない (パートやアルバイトが自由にできる)
③「永住者」申請の際の在留要件が原則10年から3年に短くなる
など
(2)「永住者の配偶者等」ビザのデメリット
①「永住者」と同居・同一生計を維持しなければならない (転勤など、正当な理由で別居する場合は認められる)
②「永住者」が死亡したとか「永住者」と離婚したなど、「永住者」との関係が切れるとビザを維持できないので、ほかのビザに変更するか、帰国しなければならない
③「永住者」と離婚調停中などの場合は、期間更新が難しくなる (すぐには不許可にならないが、「永住者」以外の身元保証人、経緯書の提出が求められるほか、在留期間が大幅に短縮される)
4 「永住者の配偶者等」ビザの条件
「永住者の配偶者等」ビザの審査ポイントは以下のとおりです。
①嘘の結婚ではなく、「永住者」と一緒に住んで結婚生活を本当にする予定かどうか
②自分と家族が十分に生活できるだけのお金と仕事、住む場所があるかどうか
③日本と外国の法律と形式によって結婚が認められているかどうか
日本や外国で結婚届を出していない場合、市役所・区役所または大使館で結婚届をしたうえで、日本であれば婚姻届出受理証明書、外国は婚姻証明書をもらってから、申請をすることになります。
同性婚など、日本で認められていない結婚の場合には、「永住者の配偶者等」ビザでは許可されず、扶養者と被扶養者間の「特定活動」ビザが許可される可能性があります。
5 「永住者の配偶者等」ビザがもらえない例
(1)これまでのビザで日本にいた時に、ビザで認められないこと、ビザで認められること以上のことをしていた
ビザの変更が認められるためには、これまでの外国人の在留状況が良かったかどうかについても、あらためて調べられることになります。
たとえば、「留学」ビザの時に、長期休暇以外の期間に週28時間以上のアルバイトをしていたとか、通訳・翻訳をするビザで働いていた時に、コンビニのレジ打ちや居酒屋のホール係のアルバイトをしていたなどの事実があった場合には、結婚や結婚の証明書が真実だったとしても、不許可となる可能性が高いです。
(2)申請書に嘘の内容を書いた、噓の書類を出す
入管に出す申請書や書類は、真実を書き、真実の書類を出さなければなりません。“どうせ分からないだろう”、“バレないから大丈夫”だと思っていても、昔に出していた書類との比較や、複数の書類を比較することによって、書類や書類の内容が真実でなかったことが明らかになる場合があります。
また、その申請書を出した外国人だけでなく、ほかの外国人が出した書類との内容を比較することによって、書類とその内容が真実でなかったことが明らかになる場合があります。さらに、入管は、外国でその書類を作った会社や機関に、その内容を確認する場合があります。
たとえば、働いていないのに働いていると申請書に書く、つかまったことがあるのに書かない、結婚証明書や在職証明書、身元保証書を自分で勝手に作る、銀行の残高証明書を勝手に作る、一時的に入金した銀行の残高証明書を作って入管提出後に引き出す、などの事例があります。
(3)「永住者」と結婚した理由に嘘があった
「永住者の配偶者等」のビザは、「永住者」との真実の結婚によって同居・同一生計を維持する配偶者のためのビザです
したがって、結婚が書類上は真実であったとしても、その結婚までのプロセスにおいて真実でない話があれば、入管のビザの制度としては真実の結婚とは認められず、配偶者ビザも許可されない、ということになります。
事実でない結婚理由によくあるパターンとして、たとえば、結婚ブローカーの紹介があったのに偶然知り合ったように書く、などがあります。
この結婚ブローカーというのは、本当の結婚紹介事業者ではなく、日本人や「永住者」と結婚したことによって許可される配偶者ビザが、国籍による就労制限を受けるほかは活動制限がないことを利用して、仕事のビザが許可されない単純労働や風俗産業で外国人を働かせるため、事実でない結婚を書類だけで成立させ、配偶者ビザを申請させて、そうして外国人と就労先から高額の手数料を取り、相手の日本人や「永住者」に手数料を払う業者のことです。
このような結婚ブローカーは、入管でリストアップされていますので、仮に結婚紹介者なしと書いて申請したとしても、結婚の経緯に関する説明内容や、ビザ申請の取次業者が結婚ブローカーの依頼を受けて作る書類内容から、入管は、結婚ブローカーが介在していることを簡単に見抜くことができます。
(4) 「永住者」と結婚するまでに1、2回しか会っていない
日本人や「永住者」との結婚に限らず、人間にとって結婚は人生最大のイベントの一つですから、結婚の決意を固めるまでには、初めて知り合ってから交際期間を経て結婚に至るまで、長期にわたる時間が存在するはずです。
したがって、たとえば、つい先月に知り合ったばかりですぐに結婚したとか、先週の“オンラインお見合い”を1回しただけですぐに結婚したという場合には、結婚が真実かどうかが疑われることとなり、配偶者ビザが許可されない可能性が高くなります。
(5)「永住者」と一緒に住んでいない
「永住者の配偶者等」のビザは、相手の「永住者」と同居し、同一の生計を維持していることが原則になっています。
したがって、相手や自分の転勤など正当な理由がないにもかかわらず、住民票が別々になっていると、結婚の真実性が疑われ、不許可となる可能性があります。
6 「永住者の配偶者等」ビザの更新について
「永住者の配偶者等」ビザの在留期間は、「6ヶ月」「1年」「3年」「5年」というように、その人の年収や生活条件、「永住者」との関係性によって、違います。
「永住者の配偶者等」ビザを最初に許可される場合、普通は「1年」、次の更新も「1年」です。ただし、相手の「永住者」や配偶者ビザの本人が定職についていて収入も十分にあり、税金・社会保険料もきちんと支払っているなど、生活条件が安定しており、義務も果たしていると認められれば、その後に更新する時に「3年」、そしてその次の更新で「5年」が許可される可能性があります。
ところが、いったん「3年」や「5年」が許可されたとしても、その後に相手の「永住者」や配偶者ビザの本人が転職して収入が減ったとか、税金の未納<=支払っていないこと>がある場合には、「1年」に下がる可能性があります。
7 「永住者の配偶者等」ビザ更新で気をつけること
「永住者の配偶者等」ビザを更新する時にも注意することがたくさんあります。
(1)「永住者」と一緒に暮らしていること
「永住者の配偶者等」のビザで在留する外国人は、相手の「永住者」と同居し、同一生計を維持している必要があります。
この配偶者ビザを更新する場合には、住民票を添付する必要がありますが、「永住者」と「永住者の配偶者等」の夫婦の住民票が別々になっている場合は、相手の「永住者」や配偶者ビザの本人が単身赴任をしているなど、改めて合理的な説明が必要になります。
一方、“夫婦仲が悪くなって離婚を前提に別居中”ということになると、直ちにビザが取り消しとなることはないのですが、配偶者としての活動をしていないということになりますので、入管では、在留期限前に他の在留資格に変更するか、帰国するように説得することになります。
したがって、在留期間や在留期限に余裕があったとしても、相手の「永住者」と一緒に生活することができない特別な事情が発生したら、在留期限が近づくまで放っておくのではなく、早めにビザ変更を検討しましょう。
(2) 税金や社会保険料を払っていない
「永住者の配偶者等」のビザを更新する時には、主たる生計維持者である「永住者」または配偶者ビザの本人の課税証明書・納税証明書を提出します。
したがって、納税証明書で未納が発生している場合には、公的義務が履行されていないとして、仮に婚姻期間が長くても在留期間「1年」のままとなり、場合によっては、在留期間が短縮される可能性があります。
(3) 法律違反をしていないこと
「永住者」との結婚が本当に成立しており、配偶者としての同居・同一生計をきちんと維持していても、法律違反をしていると、日本の法律を守ることができないとみなされて、ビザを更新することができなくなる場合があります。
法律違反をした配偶者ビザの外国人が、更新ができるかできないかという基準については、ケース・バイ・ケースですので、判断が難しいところですが、法律違反の内容、何回目か、今後の更生の可能性など、総合的に判断されることになります。
たとえば、万引き・自転車どろぼう・麻薬など、法律違反があって警察に捕まると、警察から入管に情報提供があり、入管の個人記録にレコードされますので、事件と事故のある人は、充分に気をつけましょう。
(4)住所が変わった時に市役所・区役所で届出をしていない
住所変更があった場合には、14日以内に届出を出す義務が定められています。
ところが、この届出を出していないと、法律上の義務を行っていないとみなされ、罰金刑となる可能性があるほか、その後のビザ更新と変更申請の審査において、マイナス評価を受けることとなります。
(5)「永住者」と離婚してから別の「永住者」と再婚した
最初に「永住者の配偶者等」が許可された相手の「永住者」と離婚して、新たに別の「永住者」と結婚した場合には、ビザ更新であっても、新しい再婚相手である「永住者」に関する書類のほか、入管の結婚「質問書」や結婚証明書コピーなどを、改めて提出する必要があります。
また、「永住者の配偶者等」のビザを持つ外国人にとっては更新であっても、相手の「永住者」は、新たな配偶者になり、したがって、生計の安定性・継続性のほか、配偶者としての婚姻の信憑性と同居・同一生計については改めて審査の対象となりますから、前回の申請が許可されても、次回の申請が不許可となる可能性はあり得ます。
なお、離婚や再婚が多い人は、安定的な結婚生活ができないとみなされる可能性もありますから、その理由について、くわしい説明書を書いたほうがいいでしょう。
8 相手の「永住者」がなくなった場合 、または離婚した場合
「永住者の配偶者等」ビザを持つ外国人は、相手の「永住者」と一緒に住んで、一緒に生活しなければいけません。
そのため、相手の「永住者」が病気や事故でなくなった場合、また、お互いに別れて離婚<=結婚をやめて別々に住むこと>した場合には、「永住者の配偶者等」ビザを、そのまま持つことはできません。
在留期間がまだ残っていたとしても、相手の「永住者」がなくなったり、離婚したら、6ヵ月以内にビザを変更する必要があります。(「永住者」がなくなった後、または、「永住者」と離婚した後、そのままで6ヵ月以上経過すると、ビザが取り消しとなり、日本に在留することができなくなる可能性があります。)
相手の「永住者」と結婚していた期間がだいたい3年以上あり、自分が仕事をしているか、仕事ができる能力があり、さらに小さい子どもを育てる場合には、「永住者の配偶者等」のビザを「定住者」に変更することができる場合があります。(ケース・バイ・ケースです。)
ただし、結婚してすぐに相手の「永住者」と離婚したとか、子どももいない場合、生計手段がない場合には、「定住者」に変更することができない可能性が高いです。
【入管公表事例】「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例及び認められなかった事例について
「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例及び認められなかった事例について | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)



6.日本で永住したい方
一般的に「永住者」の種類は、「永住者」「特別永住者」の大きく2種類があります。
すでに日本で在留資格を持っている外国人が、一定の在留条件を満たす場合に申請し、新たに許可されるのが「永住者」です。この「永住者」の子どもとして日本で生まれた外国人も、一定の条件を満たすと「永住者」を許可される場合があります。
一方、「特別永住者」は、朝鮮半島や台湾など日本の旧植民地出身者で日本本土に居住し、戦後に日本国籍から離脱したものの、継続してそのまま日本で在留することになった外国人とその子孫に許可される法的地位です。「特別永住者」は、国籍は限定されませんが、その子孫でなければ「特別永住者」として許可されることはありません。
「特別永住者」と区別するために、一般の「永住者」を「一般永住者」とよぶこともあります。ここでは「一般永住者」を中心に「永住者」として説明します。
1 「永住者」ビザについて
2 「永住者」ビザの「許可」は難しい
3 「永住者」ビザの申請が「不許可」になるのはどんな時?
4 「永住者」ビザも取り消される?
●「永住者」とは
1 「永住者」ビザについて
「永住者」は、日本に継続して住むことができる在留資格(ビザ)です。仕事の制限がないため、自分の好きな仕事をすることもできます。この「永住者」は、原則的に、日本で10年以上ずっと住んだ人が申請することができます。ただし申請する場合は、いろいろな条件があります。
(1)「永住許可ガイドライン」による許可
「永住者」の申請を許可するかどうかは、入管が一定の基準に基づいて決定します。入管が規定する『永住許可ガイドライン』の概要は以下のとおりです。
(https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyukan_nyukan50.html)
①「国益合致」= その人が日本に住むことが、日本にとって良いこと
(日本人や「永住者」と結婚している「配偶者」ビザの場合には「3年以上」)。
今の在留資格で一番長い在留期間(3年または5年)を持っていること。収入に応じた税金を正しく払っていること。年金を正しく払っていること。保険料<=これを払うと、病院に行く時に安くなります>を正しく払っていること、などです。
②「独立生計」= 仕事をしているか、自分のお金と技術があること
収入を伴う仕事をしているか、自分で生活できるお金と技術があり、将来も生活に困らないこと。
③「素行善良」= 犯罪をしていないこと
日本の法律・規則を守っている。犯罪をしていない。スピード違反や駐車禁止、反則等の交通違反を繰り返していないこと。
(2)「高度人材ポイント」の優遇措置による許可
「永住許可ガイドライン」のほかにも、入管が指定する複数の基準をポイント制にして計算し、一定の点数以上となる場合に、在留資格「高度人材」相当として認定し、この在留資格「高度人材」に資格変更せずに、「永住者」として許可する場合があります。(「永住」許可の10年在留に関する特例)
例えば、一般の在留資格「技術・人文知識・国際業務」5年を許可され、70ポイント相当以上を3年以上維持している場合、また、80ポイント相当以上を1年以上維持している場合には、「高度人材」相当の優遇措置により、「永住者」の申請を行うことで許可を受けることができます。
※「永住」許可の10年在留に関する特例
「 」
2 「永住者」ビザの「許可」は難しい
日本に10年以上も住んでいたので、ずっと日本に住むことができる「永住者」になろう!と思ったことはありませんか?
でも「永住者」の「許可」をもらうのは、すごく難しいです。たくさんの書類を準備して、ようやく申請をしても「不許可」、つまり「永住者」になれないことは、よくあります。
「永住者」の申請は、平均的な審査期間が「6ヵ月以上」で長いため、申請した後に年を超えて結果が出る場合も多く、1年間の正確な許可率としての計算は難しいのですが、1年間に結果が出た件数の4割から半分近くは「不許可」になっている、と考えてよいでしょう。
例えば、入管が公表した統計によると、2020年の1年間に「永住者」の申請で審査結果が出たのは57,570人で、このうち「許可」29,743人、「不許可」25,383人でした。つまり、44%が「不許可」だったことになりますが、半分以上が「許可」だったと言える半面で、半分近くも「不許可」だったとも言えるわけです。
また、2021年の1年間に「永住者」の申請で審査結果が出たのは63,958人で、このうち「許可」36,740人、「不許可」25,286人でした。つまり、39.5%、やはり40%近くが「不許可」だったことになります。
つまり、単純計算ですが、結果が出た10人中、4人が「不許可」だったということは、「永住者」の申請で「許可」を取るのは、なかなか難しいと言えます。
3 「永住者」ビザの申請が「不許可」になるのはどんな時?
では、いったいどのような場合に「永住者」の申請が不許可となるのでしょうか?
さきほど説明したように、「永住者」の申請が許可される要件は、
①日本での納税など義務を履行して日本の利益に合っているため在留期間が長いという「国益合致」、
②公的な負担とならず自分の力で生活ができるという「独立生計」、
③ルールを守り法律に違反したことがないという「素行善良」、
の3つです。
(https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyukan_nyukan50.html)
つまり、「永住者」の申請が「不許可」になるということは、これらの要件のうち、どれか1つ以上が足りない、ということになります。そしてこの要件で足りない点を具体的に見ていくと、次のようになります。
(1)税金を払わない、または、遅れて払った
(2)年金や健康保険を払っていない、または、遅れて払った
(3)犯罪でつかまった
(4)収入が低い、公的な負担になっている
(5)扶養家族が多い、本国の家族も扶養に入っている
(6)ほとんど日本にいなかった、「単純出国」した
(7)ウソの書類、間違った書類を出した
次に、これらについて詳しく見ていきましょう。
(1)税金を払わない、または、遅れて払った
税金は、今住んでいる社会を維持していくために必要な制度です。この税金を払う義務は日本人だけでなく、日本で一定の在留資格を持って在留し、住民登録をしている外国人にもあります。
この税金は、決められた日までに払う必要があります。税金の種類は、国税<=国に払う税金>の所得税と、市町村税<=住んでいる町に払う税金>の住民税がありますので、収入に応じて、両方払う必要があります。
この税金を払っていなかったり、遅れて払ったりしていると、義務を果たしていないとして、「永住者」の申請は不許可となります。
特に注意したいのは、会社に勤めていない個人の自営業の場合で、給料から住民税が天引きされず、支払いが遅れることが多いですから、気をつけます。
さらによくあるパターンが、「永住者」の申請をする直前に、これまでの滞納分を一気にまとめて支払うというやり方ですが、このような支払い方法は、たとえ完納したとしても、「適切な納付方法ではない」とみなされて、不許可の理由となります。
なお、「永住者」の申請が許可された後、新たに子が出生した場合は、この子について在留資格の取得を申請する際に「永住者」の申請を行うことが可能になります。ただし、親が税金を払っていないと、子の「永住者」の申請は不許可となり、「永住者の配偶者等」の在留資格となります。(子どもが生まれたあと、在留資格の申請をする時には、親の課税証明書・納税証明書を出しますが、税金を払っていない場合は「未納」と書いてあります。)
(2)年金や健康保険を払っていない、または、遅れて払った
年金と健康保険は、将来の生活と健康な生活を維持していくために必要な制度です。この年金と健康保険を受け取る権利は、日本人だけでなく、日本で一定の在留資格をもって在留し、住民登録している外国人にもあります。したがって、年金保険料と健康保険料の納付は、日本人だけでなく、外国人にも義務となっています。
この年金保険料と健康保険料は、決められた日までに払う必要があります。年金保険料と健康保険料も、収入に応じて、払う義務があります。
この年金保険料と健康保険料を払っていなかったり、遅れて払ったりしていると、義務を果たしていないとして、「永住者」の申請は不許可となります。
特に注意したいのは、会社に勤めていない自営業の場合で、給料から年金保険料と健康保険料が天引きされず、支払いが遅れることが多いですから、気をつけます。
さらによくあるパターンが、「永住者」の申請をする直前に、これまでの滞納分を一気にまとめて支払うというやり方ですが、このような支払い方法は、たとえ完納したとしても、「適切な納付方法ではない」とみなされて、やはり不許可の理由となります。
(3)犯罪でつかまった
交通事故<=乗っている車や自転車でだれかをけがさせたり、ものをこわしたりすること>や、犯罪<=悪いこと。たとえば、まやくをすうこと、まやくをはこぶこと、他人のものをぬすんだり、こわしたり、他人をけがさせたり、ころしたりすること、在留カードや銀行通帳を他人に売ること>は、他人に被害を与えて、社会のルールを壊す行為です。
したがって、犯罪で捕まったということは、「永住許可のガイドライン」にも直接違反するので、その影響は非常に大きいと考えるべきです。
このような交通事故を起こしたり犯罪をすると、警察から入管に通報が行き、入管の記録にレコードされます。そのため、「永住者」の申請はもちろん、普通のビザ延長や変更の時にも、悪い影響が出てきます。
外国人が犯罪をしたあと、警察から入管にすぐに通報がいかなくても、外国人から「永住者」の申請を受け付けると、入管は検察<=犯罪を裁判にかけるかどうか決めるところ>に問い合わせをしますので、犯罪のレコードがでてきます。
そして、「永住者」の申請を出した外国人が犯罪者だったということが分かると、入管では慎重に審査することになり、今までも法律を守らないなら今後も法律を守る可能性が低いだろうとみなされて、申請は許可されません。この場合、不許可の後で何回再申請しても、「不許可」となります。
ただし、一時停止の違反とか、進路変更禁止の違反とか、軽い交通違反の場合、または、犯罪の程度が低い場合には、「永住者」の申請が許可になっているケースもありますが、何度も繰り返していると、法律を守る気持ちが弱いとみなされて、「永住者」の申請は「不許可」になります。
例えば、日本人と結婚した母親の呼び寄せにより「定住者」として来日した外国人が在留超過(オーバーステイ)となり、日本人と結婚状態にあったとして在留特別許可を受けたが、その後、無免許運転を始めとして、覚せい剤取締法違反でも摘発され、懲役1年6月・執行猶予3年が確定したため強制退去の対象となったものの、さらなる在留特別許可を受けてビザを維持することになり、在留期間も3年となったため、刑確定から4年後に永住申請したところ、「不許可」となった事例があります。
また、就労系の在留資格で在留10年超ではあるものの、速度違反など交通違反による検挙歴が複数ある外国人が「永住者」の申請をしたところ、「素行不良」かつ常習性ありとして「不許可」となり、その後の再申請においても「不許可」となった事例があります。
一方、このような違反や犯罪という背景の下で「永住者」の申請が不許可になったとしても、5年が経過したことによって、一転して「許可」となる場合もあります。
例えば、日本人と結婚した外国人が「日本人の配偶者等」を許可された後、風俗営業法違反で罰金100万円が確定、その後に在留期間が3年になり、日本人との同居・同一生計も3年以上ありとして「永住者」の申請を行ったが、罰金刑確定から5年以内であるとして「不許可」となったものの、その後、5年経過後に改めて再申請したところ、「許可」になったという事例があります。
ただし、5年経過すればすべてクリアというわけではなく、あくまでも、ケース・バイ・ケースですから、事件があった人は気を付けたいところです。
(4)収入が低い、公的な負担になっている
生活をするうえで、収入<=働いてもらうお金>はきわめて大切です。お金がより多くあれば、安定的で、継続的な生活が可能になるからです。ビザを延長する時にも、収入が低いと「安定的・継続的な在留が困難」であるとして、不許可となる場合もありますが、「永住者」の申請でも同じことが言えます。
ただし、ビザ延長の場合、収入を審査をする期間は原則1年間だけですが、「永住者」の申請の場合は1年間だけではありません。仕事の在留資格をもつ外国人が「永住者」の申請をする場合は、過去5年間の収入を審査します。日本人や「永住者」と結婚した配偶者のビザをもつ外国人が「永住者」の申請をする場合は、3年間の収入を審査します。この期間で、1年でも基準より低い収入である場合には、不許可となります。(正確な基準の金額は公開されていません。)
例えば、日本の4年制大学を卒業し、通訳・翻訳担当の正社員として在留資格「技術・人文知識・国際業務」5年を許可されていた30歳代・独身の外国人が、「年収280万円」で「永住者」の申請をしたところ、「生計不安定」で不許可となった事例があります。
一方、日本の4年制大学と大学院を卒業し、ITエンジニアとして在留資格「技術・人文知識・国際業務」5年を許可されていた30歳代・既婚・子1人の外国人が、「年収460万円」で「永住者」の申請をしたところ、許可された事例があります。
なお、年齢や病気が理由で働くことができなくなり収入がない、または、収入が低くなった人が、市役所や区役所から「生活保護」をもらうことがあります。この「生活保護」をもらったから「永住者」の申請が不許可という直接の決まりはないことになっていますが、「生活保護」をもらうことは、公的な負担となっていることを意味しており、「生活保護」がなければ生計が不安定だ、とみなされて、結局は「永住者」の申請が不許可となる可能性が非常に高いです。
(5)扶養家族が多い、本国の家族も扶養に入っている
「永住者」の申請が許可される水準の年収であるかどうかは、その外国人の年齢や家族構成、扶養家族が多いか少ないか、によって決まります。
例えば、独身で30歳くらいの人が申請するならば、年収300万円程度あれば、扶養家族がないので、生活に必要なお金も安く、余裕ある生活が可能となりますから、「永住者」の申請も許可される可能性が高くなります。
ところが、申請する外国人の扶養家族の人数が多いと、家族が生活するためのお金も多く必要になりますので、1家4人で申請する場合に年収300万円では足りない、として「不許可」となる可能性があります。
さらに、扶養家族については、日本国内の扶養家族だけでなく、本国の扶養家族についても注意する必要があります。
日本で暮らす外国人の中では、一緒に暮らす妻や子どもだけでなく、本国にいる両親まで扶養に入れている外国人も珍しくありませんが、このような場合は、たとえ本国の生活費が安くても、日本で生活費や貯金として使うお金が少なくなります。
したがって、外国人の日本での収入と比較して、日本と本国で合わせた扶養家族が多いと、日本の生活が不安定になるという理由で、「永住者」の申請が「不許可」となる可能性があります。
例えば、30歳代後半の外国人が年収700万円台という比較的高収入を得ていたにもかかわらず、日本国内の扶養家族が妻と子2人に加え、本国での扶養家族が夫の両親と妻の兄弟2人まで合わせて7人を扶養に入れていたケースでは、1家4人での「永住者」の申請が「不許可」となった事例があります。
また、30歳代後半の夫が自営業のITエンジニアで年収300万円台、日本人の妻のパート収入が年収100万円程度で、世帯収入が500万円程度だったにもかかわらず、扶養家族は同妻と2子に加えて、本国の両親も扶養にいれていたケースでは、年金保険料の支払い遅れもあって「永住者」の申請が「不許可」となりましたが、その翌年、本国両親の扶養を外して再申請したところ、「許可」となった事例があります。
(6)ほとんど日本にいなかった、「単純出国」した
「永住者」の在留資格は、一部例外の在留資格を除き、これまでの在留資格の下、最長の在留期間で日本に長く住んでおり、これからも日本に長く住む人、しかも税金や年金、健康保険もきちんと払ってきた人が「許可」されます。
つまり、日本の在留資格はあったけれども本国での生活が長く、日本ではほとんど住んでいなかったという場合には、日本でのビザはいらないのではないか、とみなされて、「永住者」の申請も許可されませんが、いまある在留資格も短くなります。そして在留期間1年になると、そもそも「永住者」の申請すらできなくなります。
例えば、日本で「定住者」3年の在留資格を許可されていた夫婦と3子の一家が「永住者」の申請をしたところ、3子のうち、本国の学校に通学するため長期不在だった1子だけが「不許可」となった事例があります。
一方、長期にわたる不在期間はあるものの、不在理由が会社命令によるものであり、その間の税金と年金保険料と健康保険料が特別徴収であったなど、日本における公的義務をきちんと履行していた場合には、「永住者」の申請が許可されています。
また、日本に在留していたすべての在留期間を合わせれば10年以上であっても、途中で再入国許可を取らずに一回でも「単純出国」していた場合(日本を出国したときのスタンプの下に「単出」と書いてあります。)、つまり、自分でビザを捨てて帰国していた場合、在留期間の合算は認められず、基準年数が足りなければ、これも「不許可」となります。
例えば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を3年で許可されていたエンジニアが、日本で起きた大地震のため本国に「単純出国」し、その後、改めて会社の呼び寄せで在留資格を許可され再来日、その後、最初の在留期間と合わせて10年を超えたとして「永住者」の申請を行ったところ、「単純出国」により継続10年在留ではないと判定された事例があります。
(7)ウソの書類、間違った書類を出す
「永住者」の申請をする時に入管に提出する書類は、人によって違いはありますが、税証明のほか在職証明書や学歴証明書、在学証明書、婚姻証明書や出生証明書、資格証明書、身元保証書、推薦状、残高証明書など20種類近く、一家での同時申請にもなると30種類以上にもなります。
これら書類が必要になるのは「永住者」の申請だけではありませんが、「永住者」の申請では特に多く、これらについてウソの書類、間違った書類を入管に出すと、そのままレコードされますから、入管の申請では将来にわたって大きく影響します。
特に「永住者」は、国籍による仕事の制限を受けるほかは、日本での活動に制限がなく、日本にいる限り、在留期限がありません。そのため、「永住者」の申請を受け付けた後の審査は通常のビザ延長や変更よりも厳しく、長くなり、審査期間は数ヶ月以上かかることもあります。
その結果、ウソの書類を出していたことがバレると、単に「永住者」の申請だけが不許可になるだけでなく、その後の延長や変更の申請も、連続して不許可となる可能性が高くなります。
例えば、日本人と結婚したとして「日本人の配偶者等」を許可され、1年ビザから3年ビザに長くなっていた外国人が「永住者」の申請をおこなったものの、正当な理由なく別居していたり、携帯電話の契約名義人が他の同国籍の外国人であったなど、同居・同一生計がウソだということになって、「永住者」の申請が「不許可」となった事例があります。
4 「永住者」ビザも取り消される?
留学生時代から長く日本に住んで、しごとも、収入もあって、家族にも恵まれて、安定した生活をしていることが入管に認めてもらえて、ようやく手にした「永住者」ビザ!
でも「永住者」ビザも在留資格の1つですから、その許可が間違っていたと判断されれば、後から取り消しになることがあります。
まず、ウソの書類、間違った書類を入管に出して、仮に「永住者」の申請が許可されていた場合、あとになって書類がウソだったことが明らかになると、「永住者」ビザも取り消しになります。「永住者」のビザが取り消しになると、強制送還にまで至らない場合には、「定住者」1年になる事例があります。
例えば、日本人と結婚して「日本人の配偶者等」を許可され、3年間にわたり同居・同一生計を維持していたとして「永住者」の申請を行ったものの、審査結果が出る前に夫婦関係が悪くなり、事実上別居していたにもかかわらず「永住者」の許可を受け、その翌日に離婚届を出して離婚した外国人が、他の外国人と結婚したとして相手の「永住者の配偶者等」のビザ申請をしたことで、当初の「永住者」の申請内容が疑われることになり、その後、“「永住者」の許可の時には同居・同一生計を維持していなかった”として、自分の「永住者」ビザが取り消されたケースがあります。
また、最初の「永住者」の申請自体は問題がなくても、その「永住者」が後になって犯罪をして捕まるような場合には、「永住者」ビザも取り消しとなります。
例えば、日本人と結婚して「日本人の配偶者等」のビザを許可され、日本人との同居・同一生計3年以上で「永住者」を許可されていた外国人が、度重なる窃盗(万引き)で逮捕された結果、「定住者」1年となった事例があります。
このほかにも、同じように配偶者ビザから「永住者」を許可された外国人が売春防止法で摘発され「定住者」1年になった事例、「永住者」が経営していた風俗店で留学生を働かせて摘発され不法就労助長で立件されて「定住者」1年となった事例、さらに「永住者」が詐欺罪で逮捕され執行猶予つきの有罪判決を受けた場合でも「定住者」1年となった事例などがたくさんあります。



7.その他 (「定住者」「特定活動」)
・「定住者」とは
在留資格「定住者」は、他の在留資格に該当しない類型の在留資格のほか、日本人や元日本人との一定の血縁関係を前提に、法律によって規定された外国人の地位を、一定の在留期間で法務大臣が許可するケースと(「告示定住」)、これら法律上の地位には該当しないものの、外国人個々の活動内容や在留状況から判断して、一定の在留期間で法務大臣が許可するケースがあります(「告示外定住」)。「告示外定住」の場合、新規上陸許可の対象ではなく、したがって、在留資格認定証明書交付申請はできません。
主な「告示定住」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001368764.pdf)
※告示分類の号は定住告示の各号に相当します。
何らかの在留資格をもって日本に居住していたものの、すでに「定住者」の在留資格を有していた者(本体定住)との婚姻によって、「定住者」への在留資格変更が許可される場合があります(従属定住)。この場合、本体定住者と離婚すると、従属定住者の在留資格は維持できない可能性が高いです。
主な「告示外定住」
※告示外分類は入管法上の分類に基づきますが、分類名称は編集者によるものです。
・「特定活動」とは
在留資格「特定活動」とは、入管法「別表」にあらかじめ規定された活動の類型に該当しない活動を日本でおこなう外国人に対して、法務大臣が個別に活動を指定する在留資格です。
在留資格「特定活動」の活動類型は、法務省「告示」であらかじめ規定されたもの(特定活動告示に規定する活動、告示特定活動)と、同「告示」で定められていないもの(告示外特定活動)の2つの類型があります。「告示外特定活動」の場合、新規上陸許可の対象ではなく、したがって、在留資格認定証明書交付申請はできません。
さらに、日本国内における外国人の活動とニーズが多様化、複雑化していく上、日本国内のイベントや環境変化、そして国際情勢にも大きく影響を受けるに伴い、既存の在留資格だけでなく、告示で定められた「特定活動」ではカバーしきれない在留活動が続出していることから、告示特定活動にせよ、告示外特定活動にせよ、「特定活動」の類型は増加する傾向にあります。
なお、これら「特定活動」を在留期間4ヵ月以上の中長期で許可される場合、在留カードには「特定活動」という在留資格の名称と在留期間のほか、就労については、これを認めない「就労不可」、または限定的に就労を認める表記(「指定書により指定された就労活動のみ可」)があるだけで、どのような類型の「特定活動」なのか、どのような就労が可能であるかは、わかりません。
したがって、これら「特定活動」の類型と就労内容を正確に確認するためには、旅券に貼付された「指定書」の内容を確認することになります。
主な「告示特定活動」
※告示分類の号は特定活動告示の各号に相当します。
主な「告示外特定活動」
告示分類 | 要件 |
第1号・第2号 | 特定の東南アジア諸国等に一時滞在しており、国連機関が難民として認定し保護を推薦された者であって、日本での生活適応能力を有する者とその親族(いわゆる「第三国定住難民」) |
第3号 | 日本人の子として出生した者の実子であって素行が善良である者(日本人の孫=3世、元日本人の日本国籍離脱後の実子=2世、元日本人の日本国籍離脱前の実子の実子である孫=3世) |
第4号 | 日本人の子として出生した者でかつて日本国籍をもっていた者の実子の実子であって素行が善良であるもの |
第5号 | 日本人の配偶者等の在留資格をもって在留する者で日本人の子として出生した者の配偶者1年以上の在留期間を指定された定住者の配偶者(除外規定あり) |
第6号 | 日本人、永住者、特別永住者の扶養を受けて生活する未成年の未婚の実子1年以上の在留期間を指定された定住者の扶養を受けて生活する未成年の未婚の実子、第3号・第4号の定住者の扶養を受ける未成年・未婚の実子であって素行が善良であるもの日本人・永住者・特別永住者または1年以上の在留期間を指定された定住者の配偶者で、日本人の配偶者等や永住者の配偶者等を許可された者の扶養を受ける未成年で未婚の実子 |
第7号 | 日本人・永住者・定住者(1年以上の在留期間を指定されたもの)・特別永住者の扶養を受けて生活する6歳未満の養子 |
第8号 | 1945年9月3日以前から中国に居住し、同日以後の混乱によって日本に帰国不能となった者で、日本国民として本籍を有していた者 上記の者を両親として同日以降に中国で出生し、引き続き中国で居住していた者 上記の者の配偶者・未婚の実子・被扶養者等 |
告示外分類 | 要件 |
認定難民 | 本国における政治的迫害等を理由として難民認定を申請し、法務大臣がこれを許可した者 |
離婚定住 | 在留資格「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」を許可され在留していたものの、相手の日本人、永住者または特別永住者との離婚後において、特別な事情の下で、引き続き在留を希望する者 |
配偶者死亡定住 | 在留資格「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」を許可され在留していたものの、相手の日本人、永住者または特別永住者が死亡した後において、特別な事情の下、引き続き在留を希望する者 |
日本人監護定住 | 日本人との間に出生した実子について、親権をもって相当期間、実子を監護養育している者 |
婚姻破綻定住 | 日本人、永住者または特別永住者である配偶者等との離婚は未成立で、婚姻関係は継続中であるが、夫婦双方に婚姻継続の意思がなく、関係修復の可能性もないなど、特別な事情の下、引き続き在留を希望する者 |
難民不認定定住 | 難民認定を申請して不認定処分を受けたものの、特別な事情を考慮し、在留資格「特定活動」1年の在留期間の決定を受けてから「定住者」への在留資格変更許可を申請した者 |
家族滞在定住 | 家族滞在での入国時に18歳未満、日本の義務教育である小中学校を卒業した上、高校を卒業または卒業見込みであって、就労先が決定している者 |
告示分類 | 要件 |
1号 家事使用人(外交・公用) | 外交官・領事官およびこれらに準じる公的機関に所属する外国雇用主に個人的使用人として雇用された18才以上の者が同雇用主の家事に従事する活動 |
5号 ワーキングホリデー(ワーホリ特活) | 日本政府と特定国政府との口上書・協定・協力覚書に基づき、日本文化・生活に対する理解を得ることを目的として、一定期間の休暇を過ごしつつ、旅行資金を補うため、必要な範囲内の報酬を受ける活動(ただし風営法対象の業種を除く) |
6号 アマチュアスポーツ選手 | オリンピック大会、世界選手権大会その他の国際的な競技会に出場したことがあり、日本のアマチュアスポーツ振興のため、月額25万円以上の報酬を受ける契約を日本国内の機関と締結した者がおこなうアマチュアスポーツ選手としての活動 |
9号 インターンシップ(インターン特活) | 学位が授与される外国大学の教育課程に在籍し、教育課程の一部として、かつ、同大学の修学年限の半分を超えない期間内で、同大学と日本国内の機関との1年以内の契約に基づき、同機関から報酬を受けつつおこなう就労活動 |
12号 サマージョブ(サマージョブ特活) | 学位が授与される外国大学の学生が、学業の遂行と将来の就業に寄与することを目的に、同大学と日本国内の機関との契約に基づき、同大学の授業がない期間、3ヵ月を超えない期間内で、報酬を受けつつ同大学が指定した同機関の業務に従事する活動 |
16号・17号 EPA看護師候補者・介護福祉士候補者(インドネシアEPA特活) | 日本とインドネシア間の経済連携協定に基づき、日本の看護師免許の取得(16号)または介護福祉士資格の取得(17号)を目的として、日本国内の特定の機関に受入れられて知識の修得を行う活動、または研修として同機関の業務に従事する活動 (同様の協定は、フィリピン、ベトナムとも締結しています。) |
25号・26号 医療滞在(医療滞在特活・同伴特活) | 日本国内の特定の医療機関において相当期間滞在しながら、疾病と傷害について医療を受け、または入院しながら継続して医療を受ける活動(25号)と同伴者(26号)の活動 |
32号 外国人建設就労者(建設就労特活) | 日本国内の機関が策定し国土交通大臣が認定した「適正監理計画」に基づき、同機関との雇用契約に基づいて建設業務に従事する活動 |
34号 高度専門職外国人または配偶者の 父または母(高度人材家事支援特活) | 世帯収入800万円以上である高度専門職外国人の7歳未満の子の養育を含む家事支援につき、高度専門職外国人または配偶者のいずれかの父または母としておこなう日常的な活動 |
35号 外国人造船就労者(造船就労特活) | 日本国内の機関が策定し国土交通大臣が認定した「適正監理計画」等に基づき、同機関との雇用契約に基づいて造船業務に従事する活動 |
40号・41号 (長期観光・保養・富裕層特活、同伴配偶者特活) | 特定国・地域の国籍を持つ18才以上の一般旅券所持人であって、同人が単独で申請する場合(40号)は同人と配偶者の預貯金が合計3千万円以上、同人(40号)と共に配偶者(41号)が同伴する場合は預貯金が合計6千万円以上あり、さらに死傷病保険に加入していることを条件として、1年を超えずに滞在しておこなう長期観光、保養その他これに類似する活動 |
42号製造業外国従業員(製造業特活) | 日本国内の機関が策定し経済産業大臣が認定した「製造特定活動計画」に基づき同機関の海外事業所の職員が、同国内の生産施設で中心的な役割を果たすための知識・技術を修得するため、日本国内にある同機関の生産拠点で製造業務に従事する活動 |
43号 日系4世(日系4世特活) | 日本人の子として出生した者の実子の実子(日本国籍を有した者の実子の実子は除く)または日本人の子として出生した者で日本国籍を有していた者の実子の実子の実子であり、年齢は18才以上30才以下、帰国旅費があって独立生計能力を持ち、健康・素行善良、死傷病保険に加入しており、無償の滞在支援を受けつつ通算5年を超えない期間内で日本文化と生活様式を理解する活動と、これに必要な範囲内で報酬を受ける活動(ただし風営法対象の業種を除く) |
44号・45号 外国人起業家 (起業特活、起業特活配偶者等特活) | 経済産業大臣が認定した「外国人起業活動管理支援計画」に基づき起業準備活動計画の確認を受けた者が、1年を超えない期間、日本において起業準備活動計画に関する事業の開始のため必要な事業所の確保その他の準備行為をおこなう活動と、これに付随しておこなう報酬を受ける活動、ならびに事業開始後に継続して事業経営を行う風営法対象業種以外の活動(44号)と、同人の配偶者や子としておこなう日常的な活動(45号) |
46号・47号 本邦大卒者(日本語N1特活) | 日本の大卒以上で日本人同等以上の報酬を受け、一定水準以上の日本語能力を有することが証明された外国人が、日本国内の機関との契約の下で日本語を使用し円滑な意思疎通が必要な、風営法対象業種以外の業務に従事する活動(46号)と、同人の配偶者や子としておこなう日常的な活動(47号) |
48号・49号 オリパラ関係者(オリパラ特活) | 東京オリンピック・パラリンピックの関係者として準備活動に従事する者の活動(48号)と、同人の配偶者や子としておこなう日常的な活動(49号) |
50号 スキーインストラクター (スキーイントラ特活) | 一定の認定資格を有し、日本国内の機関との契約の下で、日本人同等以上の報酬を受けておこなうスキー指導者としての活動 |
告示外分類 | 要件 |
就職活動を継続する特定活動 (継続就活特活) | 外国人が日本の大学または専門学校を卒業後、就職活動の継続を希望する場合に、出身校の推薦状の取得を条件に、在留期間6ヵ月、1回のみ更新を認め、卒業後1年以内に限り、就職活動を継続する活動(1週28時間以内で資格外活動許可も可能) |
内定後に入社待機する特定活動 (内定待機特活) | 外国人が継続就活特活で在留中に就職が内定したものの、正式入社まで一定の期間がある場合、内定企業と内定者との連絡を維持しつつ、内定取り消し時には入管に対し報告することを誓約し、さらに内定後1年以内であり卒業後1年6ヵ月を超えない期間で、正式入社までの間に限定しておこなう内定者としての活動(1週28時間以内で資格外活動許可も可能) |
出国準備のための特定活動 (出準特活) | すでに一定の在留資格を許可され在留していた外国人が、在留資格変更許可申請、または在留期間更新許可申請をおこなったものの、その在留期限後に「不許可」処分を受ける場合、処分時までは最大2ヵ月間の特例期間の適用を受け、適法に在留できるが、「不許可」処分によって不法残留となるため、収容を避けることを目的として、本来の申請内容を変更することで許可される出国準備のための活動 |
非自発的離職者の求職活動の特定活動 (解雇特活) | 日本国内の機関との契約に基づき就労の在留資格を許可されていた外国人が、会社の経営上の理由など、外国人本人に対する重懲戒ではなく会社都合の理由で解雇された場合に、求職活動をおこなうための活動(1週28時間以内で資格外活動許可も可能) |
本国情勢等に基づく避難民の特定活動 (避難民特活) | 特定国・地域に居住していた外国人が、現地での紛争など特別な事情のため、「当分の間」、日本に滞在しておこなう避難民としての活動(資格外活動許可ではないが、風営法対象業種以外で、フルタイムで就労することも可能) |
新型コロナウィルス拡大にともなう 帰国困難者の特定活動 (コロナ特活) | 新型コロナウィルスの拡大によって欠航・減便が継続するなど、本国への帰国便が確保できなくなったり、本国での都市封鎖などで居住地への移動が著しく困難となった外国人が、帰国便と国内移動手段が確保されるまで待機するための活動(1週28時間以内で資格外活動許可も可能、ただし技能実習生の場合は、元の実習先で実習と同一職務に従事する場合に限り、フルタイムでの就労を認める) |
特定技能1号外国人家族の特定活動 (特定技能家族特活) | 特定技能1号外国人は、原則的に家族帯同が認められないものの、特定技能1号外国人としての許可を受ける以前から相手側との婚姻関係が成立しており、その過程で子として出生したなどの事情が存在する場合に、特定技能1号外国人の配偶者や子として扶養を受ける同居人としての日常的な活動 |
同居人の扶養を受ける特定活動 (被扶養者特活) | 一定の就労系の在留資格、または配偶者等を除く身分系の在留資格を許可された外国人みずからが扶養者となり、配偶者等の在留資格の要件に合わない同性婚の相手などが被扶養者となる同居人としての日常的な活動 |
難民認定申請中または 難民不認定異議申立中の特定活動 (難民特活) | 本国において政治的迫害を受けたという背景の下で難民認定申請をおこなっている外国人が、処分を受けるまでの間に認められる日常的な活動、または同申請をおこない不認定処分を受けたものの、同処分に対し異議申し立てを行い、その決定を受けるまでの間に認められる日常的な活動 |